前回、働きながら税理士試験の勉強を続けるには、結局は持久力が必要だ、ということを書きました。
実際、税理士試験は短期間で終わる試験ではありません。1年頑張れば終わる、というものでもないし、気合いだけで最後まで走り切れるものでもありません。
では、働きながらでも最後までたどり着ける人は、何が違うのか。
今回は、勉強法そのものというより、勉強を続けるために最初に決めておいたほうがいいことについて書いてみます。
目次
- 資格取得までの年数を長めに見積もる
- 「何をやるか」より「何を減らすか」を決める
- 科目選びは勢いより相性
- 忙しい時期でもゼロにしない仕組みを作る
- 不合格を前提にしたメンタル設計をしておく
- 合格まで支えるのは才能より生活設計
1.資格取得までの年数を長めに見積もる
働きながら税理士を目指す人が、最初につまずきやすいのは見積もりの甘さです。
受験を始めるときは、誰でも前向きです。
「最初の1年で簿財、そこから税法を毎年1科目ずつ取ればいける」と考える人は多いと思います。
もちろん、その通りに進む人もいます。
ただ、現実には仕事の繁忙期もあるし、異動もあるし、体調を崩すこともあります。
家族の事情が入ることもあるし、毎年必ず合格するとも限りません。
だからこそ、最初から最短ルートだけを前提にしないほうがいいです。
5年で取れたら理想。
でも、7年かかっても、10年かかってもおかしくない。
そのくらいの前提で始めたほうが、途中で気持ちが切れにくいと思います。
長めに見積もると、遠回りに感じるかもしれません。
でも実際には、そのほうが現実的です。
「こんなはずじゃなかった」と途中で失速しないためには、最初の見積もりがとても大事です。
2.「何をやるか」より「何を減らすか」を決める
社会人受験で一番足りないのは、能力より時間です。
時間が足りない以上、全部やろうとすると必ず崩れます。
なので、まず決めるべきなのは、今年何を頑張るかではなく、今年何を減らすかです。
たとえば、平日の飲み会を減らすとか、何となく見ているスマホの時間を減らすとか、休日の予定を入れすぎないとか。
試験の期間だけは趣味を少し絞る、というのもあると思います。
ポイント:
勉強時間は「空いたらやる」では、なかなか確保できません。
先に余白を作っておかないと、勉強は生活の一番最後に回ってしまいます。
少し厳しい言い方になりますが、税理士試験を本気でやる年は、今までと同じ生活のままで乗り切るのは難しいです。
今まで通り仕事をして、今まで通り遊んで、今まで通り休んで、その上で毎日何時間も勉強するのは、やはり無理があります。
だからこそ、「今年は受験の年だから生活の優先順位を少し変える」と、最初に決めてしまったほうが楽です。
3.科目選びは勢いより相性
税理士試験は、科目選びがその後の受験生活をかなり左右します。
ここで大事なのは、「王道だから」とか「みんながそうしているから」ではなく、自分の仕事や生活との相性です。
実務との親和性が高い科目もあります。
でも、実務に触れているからといって、そのまま受かりやすいとは限りません。
逆に、理論暗記が比較的得意な人もいれば、計算を積み上げるほうが向いている人もいます。
仕事の忙しさ、平日に取れる勉強時間、土日に確保できる時間、性格、向き不向き。
こうしたものを無視して勢いで科目を選ぶと、途中で失速しやすいです。
科目選びは、気合いで決めるものではなく、自分が続けやすい土俵を選ぶ作業でもあります。
専門学校や経験者の意見を聞くのは大事です。
ただ、最後は自分の生活に合うかどうかで決めたほうがいいと思います。
4.忙しい時期でもゼロにしない仕組みを作る
働きながら勉強していると、どうしても「今週は無理だな」という時期があります。
繁忙期、申告、顧客対応、社内のトラブル。
勉強どころではない週は、普通にあります。
でも、そういうときに大事なのは、100点の勉強をすることではありません。
ゼロにしないことです。
1日3時間できない日があってもいい。
30分でもいいし、15分でもいい。
理論を1題だけ読む、問題を1問だけ解く、講義を少しだけ見る。
それでも十分意味があります。
ポイント:
人は勉強そのものがつらいというより、止まったあとに再開するのがつらいことがあります。
だからこそ、忙しい時期ほど「最低メニュー」を持っておくことが効いてきます。
理論を1題だけ確認する。
計算問題を1問だけ解く。
通勤時間だけは必ず勉強に使う。
講義を15分だけでも見る。
このくらいでいいと思います。
普段の理想形ではなく、崩れそうな時期の最低ラインを持っておく。
長期戦では、これがかなり効きます。
5.不合格を前提にしたメンタル設計をしておく
税理士試験は、真面目にやっても落ちることがあります。
これは、能力が足りないからというより、そういう試験です。
なので、最初から「1回落ちたら終わり」という設計にしないことが大事です。
むしろ、
「1回では受からないこともある」
「受からなかった年にどう立て直すかが勝負」
「続けた人だけが次の年のスタートラインに立てる」
この前提でいたほうが、現実に近いと思います。
不合格になると、時間もお金も気持ちも、全部無駄になったように感じることがあります。
でも、実際にはそうではありません。
勉強した知識も、答案の感覚も、試験会場での経験も、翌年の土台になります。
本当に危ないのは、不合格そのものではなく、「もういいや」と離れてしまうことです。
受からない年があるのは珍しくありません。
珍しいのは、落ちたあとに淡々と立て直して、また机に戻れる人です。
でも、最後に受かるのは、たいていそういう人だと思います。
6.合格まで支えるのは才能より生活設計
税理士試験に向いている人は、頭のいい人というより、生活を整えられる人だと思います。
毎日勉強する。
体調を崩しにくくする。
仕事で無理をしすぎない。
周囲に受験のことを伝える。
家族に理解してもらう。
勉強を続けられる環境を少しずつ作る。
どれも地味なことです。
でも、長い受験生活では、こういう地味なことが最後に効いてきます。
勢いで頑張れる時期は、誰にでもあります。
問題は、その勢いがなくなったあとでも続けられるかどうかです。
そのときに必要なのは、根性だけではなく、根性がなくても続けられる生活設計だと思います。
勉強を特別なイベントにせず、毎日の仕事や食事や睡眠と同じように、生活の中に置いていく。
そこまで持っていけると、受験生活は少しずつ安定していきます。
まとめ
働きながら税理士を目指すのは、やはり簡単ではありません。
ただ、難しいのは勉強そのものだけではなく、その勉強を何年も続けられる生活を作ることでもあります。
時間の見積もりを現実的にすること。
捨てるものを決めること。
自分に合う科目を選ぶこと。
忙しい時期でもゼロにしないこと。
不合格から立て直せる前提で進むこと。
このあたりが整ってくると、受験生活は少しずつ前に進みます。
税理士試験は、派手さはありませんが、積み上げたものがそのまま力になる試験です。
今日すぐに大きく変わらなくても、やめずに続けた人が少しずつ合格に近づいていきます。
いま働きながら勉強している方は、ぜひ短期決戦ではなく長期戦として考えてみてください。
今年の1日1日が、未来の自分の土台になるはずです。
次回予告
次回は、もう少し具体的に、働きながら勉強する人の1週間の回し方や、平日・土日でどう勉強時間を作るかについて書いてみようと思います。
連載の流れ:
第1弾「働きながら税理士を目指す。」
第2弾「続けられる人が最初に決めていること」
第3弾「勉強時間はどう作るのか(予定)」

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