士業は食えるのか?3つの資格で見た“現実と可能性”
「士業って食べていけるの?」――よく聞かれる質問ですし自分自身も疑問でした。
私自身、開業当初は顧問先もほぼゼロでしたし、どうやって顧問先を開拓するのかも全く分かりませんでした。
私は、税理士として個人で開業して、その後法人化しました。
税理士法人を経営しながら、社労士・中小企業診断士の資格を取得しました。まだ税理士以外の資格を実務で活用できているわけではありませんが、それぞれの資格が“稼ぐ力”にどうつながるかを感じる場面は多々あります。
正直に言うと、「資格=食える」という時代は終わりました。
ただ、**「資格×実務経験×信頼構築」**の掛け算ができれば、安定したキャリアを築くことは可能です。
- 税理士:専門性は高いが競合も多い。組織化・ブランディングが重要
- 社労士:手続き業務からコンサルへ移行できると単価アップ
- 診断士:単独での稼働よりも、既存の士業に“戦略軸”を加えると強い
3つの資格を通じて見えてきたのは、「資格は手段。価値をどう届けるか」が勝負の分かれ目ということでした。
士業のキャリアはどうつくる?30代・40代からの資格戦略
20代から士業を目指す方もいれば、30代・40代からキャリアチェンジや独立を見据えて資格取得を考える方も多いと思います。私は割と単純な人間だったので、20代から「税理士にでもなるか!!」と単純に考えて勉強をはじめました。
社会人になってからの士業受験は、仕事・家庭との両立が大きな壁になります。ただその反面、「実務の現場にいるからこそ見えるリアル」もあります。
- 今の職場で活かせる士業はどれか?
- 将来的に独立したいなら、どんな“土台”を作っておくべきか?
- 自分の強み・キャラに合う資格は何か?(例:対人力があるなら社労士、分析力があるなら税理士…など)
時間は有限なので、自分の勉強可能時間を考えて取るべき資格・取れる資格を見極める必要があります。税理士は最低6,000時間(私は9,000時間)、社労士は最低1,500時間(私は1,600時間)、中小企業診断士は最低1,500時間(私は1,500時間)かかります。これはストレート合格(税理士は5科目をすべて1度目で合格)する場合に必要な私見での必要な勉強時間です。※中にはこんなに時間をかけずに合格する人もいますので、参考です。
私は税理士は、20代の大きな時間を、社労士は2023年、診断士は2024年の大きな時間を捧げました(笑)
自分に合いそうで、現在・未来の職場で活かせる資格でこれから時間的に勉強ができそうな資格を見定める必要があります。
複数資格を狙う場合は、「点」で考えず、「線」でつなげることでキャリアが立体的になります。
企業内士業 vs 開業士業:それぞれのリアルとメリット・デメリット
士業資格を取ったあと、「企業内で働くのか?」「いずれは独立するのか?」というキャリアの分岐点に立たされます。
私は比較的早い段階で開業を選び、現在は税理士法人の代表として仕事をしています。ただ、社労士や診断士業務を見ていると、企業内士業として活躍している方も多く、それぞれにメリット・デメリットがあると感じています。
項目 | 企業内士業 | 開業士業 |
---|---|---|
安定性 | ◎(収入・社会保険など) | △(初期は不安定) |
自由度 | △(組織の制約あり) | ◎(業務範囲を選べる) |
成長環境 | ○(大手なら案件豊富) | ○(全部自分次第) |
ブランディング | ×(個人の実績は出しにくい) | ◎(実績が直に評価される) |
大切なのは、今の自分の状況や将来像に合った選択をすること。
私は今、税理士法人の安定した基盤を活かしながら、他士業の領域にも踏み出す“ハイブリッド型”の働き方を模索しています。
将来は独立したい人へ「士業として成功するために今できる準備」
「いつかは士業として独立したい」――そう考えている方にとって、最初の一歩は何か。
私自身、開業してから感じたのは、**“資格だけでは絶対に足りない”**という現実でした。
独立前・独立直後にやっておくべきことは、主に以下の5つです:
- 販路の開拓(私は独立後に学びました。)
- お金の準備(しばらく収入なしで経費のマイナス分と生活費の工面)
- 士業コミュニティや実務家とのつながりをつくる(若手は意外とお客さんもらえます)
- SNSやブログなど、発信力を育てておく(すぐにでもやるべきです。)
- 「自分にしかできない強み」を意識する(強みを意識してメニュー作りをやりましょう。)
私は法人を立ち上げたあとに販路開拓を行いましたので、1年間は売上が経費に追い付かず赤字でした。
開業=自由なので時間はできますが、裏返すと「経費分+生活費分の資金が減少していく」という世界です。ある程度の資金を貯めておく、他からの収入を確保しておく、ことは何より重要です。
“営業が苦手”でも士業で生きていける?信頼を育てる仕事術とは
私自身、どちらかというと「ガンガン営業するタイプ」ではありません。
ですが、今の税理士法人も、WEBからの集客、紹介、口コミで仕事が増えています。
なぜか?
それは、“信頼ベースの仕事”を積み上げてきたからです。
士業にとって、派手な営業よりも、次のような「信頼構築」が営業の代わりになります:
- 相談されたときに親身に、かつ的確に答える
- 無理に売り込まず、相手の課題を一緒に考える
- 紹介されたらすぐ連絡、対応スピードを意識する
- SNSやブログで、自分の考えや専門性を可視化する
「営業は苦手だけど、信頼される存在になりたい」
――そんな方には、“紹介される士業”を目指すのがおすすめです。
紹介される人になるには、まず目の前のお客様を徹底的に大事にする。
これは、税理士でも社労士でも診断士でも、共通する“王道”だと感じています。
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